均等待遇の原則(労働基準法3条)採用後に禁止される差別とは?

均等待遇の原則

労働基準法1条から7条までは労働基準法の基本7原則と呼ばれ、労基法の基礎と位置付けられており、労働基準法を理解する上で大切な考え方になります。

今回は、その中で労働基準法第3条均等待遇の原則について条文と内容に関する具体的な解説、またそれに関連した裁判例や労務管理上のポイントを紹介したいと思います。

それでは条文を見ていきましょう。

労働基準法3条均等待遇の条文と解説

実際の条文は下記の通りになります。

労働基準法第3条

使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的な取り扱いをしてはならない。

条文の引用HP:電子政府の総合窓口 e-Gov 労働基準法

またこの条文は憲法の法の下の平等の考えを労働基準法に置き換えたものです。

日本国憲法14条

第1項

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

当ブログ管理人
少しわかりにくい言葉が多く出てきたと思うのでここで条文に出てきた用語を解説すると
  • 国籍・信条・社会的身分

この国籍とはそのままの意味ですが、次の「信条」とは特定の宗教を信じていることや政治的な信念のことを

そしてこれもわかりにくい言葉ですが、「社会的身分」とは生来の自分が生まれ持った身分のことで、例えば部落出身者のようなことをいいます

(昭和22年9月13日発基第17号)

また国籍・信条・社会的身分はたとえばの話で例示したのではなく、限定列挙といってこの項目のみで、これ以外の理由はこの規定では当てはまりません。

  • 賃金、労働時間、その他の労働条件

この中のその他の労働条件とは、通達ではこれには解雇や災害補償、安全衛生、寄宿舎に関する事項も含まれているとしています。

(昭23.6.16 基収1365号)

要は職場での全ての労働条件が含まれることになります。

 

それでは条文の用語の意味がわかった所でまとめてみると、労働基準法3条均等待遇とは

国籍・信条・社会的身分を理由として労働者の労働条件を差別し、他の人より低い労働条件にしてはいけませんよーということがこの条文の趣旨と言えます。

 

均等待遇違反の罰則

労働基準法の1条労働条件の原則と2条労働条件の決定については理念的な規定のため罰則はありませんでしたが、この均等待遇の違反には罰則があり

その内容は、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

この中で挙げた1条と2条に関しては記事にしているので、よかったら参考にしてください。

労働条件の決定(労働基準法2条)とは?労使対等のカギは労働組合にあり

2018.05.02

労働基準法をわかりやすく解説!目的や内容、法違反の結末まで

2018.04.16

 

均等待遇に関連する裁判

そしてこの均等待遇に関する有名な裁判としては、三菱樹脂事件というものがあり

これは、3カ月の使用期間を定めて採用された労働者が、採用後学生時代に学生運動に参加したことが発覚しそのため本採用が拒否され、その後労働者の地位の確認を求めて争われた事案なのですが

この裁判の中で労基法3条は、雇い入れ後における労働条件についての制限であって、雇い入れそのものを制限する規定ではないとしており

この労基法3条は、雇い入れに関しては影響せず、雇い入れてからの差別に影響するということになります。

(三菱樹脂事件 最大判48・12・12 民集27巻11号1536頁)

また採用に関しては、どのような行為や差別が違法になるのか?という点についてはまだ記事にしていませんが、参考になる公的なHPがあるので示しておきます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構、会社は誰を採用するかまったく自由に決めることができるのですか?

 

均等待遇についての労務管理上のポイント

ここまで均等待遇を解説してきて、そんな差別うちではするわけないじゃん!なんて思う方が大半かもしれません。

特に宗教上や政治的、社会的身分で労働者の労働条件を差別しちゃうなんて今の会社ではほとんど無いと思います。

 

ただここで注意して欲しいのが、外国人労働者の方への取り扱いです。

この均等待遇は国籍を理由とする差別を禁止しているので、外国人労働者に対しての日本人との労働条件における下記のような待遇の差を設けることは危険です。

たとえばこんなケース

  • 留学生が今アルバイトで働いてるんだけど、半年くらいで帰国するらしいし給料は日本人と比べて低く設定してもいいよねー

 

  • 外国人だから雇用保険・厚生年金・健康保険に入れなくてもいいかな

 

これらのケースは国籍での差別が認められて、労働基準法3条均等待遇の違反となる可能性が高く労働基準監督署から指摘される可能性も考えられます。

当ブログ管理人
なので、上に挙げたケース以外にも外国人労働者だからーなんて理由だけで労働条件を日本人の労働者との違いを設けることは避けるべきだと思います。

 

それでは以上で終わります。