労働基準法19条解雇制限とは?働けない労働者を保護する条文

解雇が禁止になるケースを学ぼう

こんにちは!社会保険労務士のオザワです。

今回は労働基準法19条解雇制限について、会社が働く人を絶対解雇出来ない期間とその例外

また解雇制限について、これも適用されちゃうの?といった勘違いしやすいケースもあるので、まとめて解説していきたいと思います。

社労士オザワ
この労働基準法19条解雇制限は、解雇に関する法律的な問題の基本的な知識になるので、要チェックです!

 

解雇制限期間とは?

まず始めに法19条では、2つのケースに当てはまる場合には解雇を制限しています。以下図とともにその内容を見てみましょう!

 

解雇制限の期間

引用:厚生労働省・徳島労働局、解雇、退職

 

  • 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間

 

これは簡単にいうと、仕事に関係したことでケガや病気にかかって休んだ時は、その休んでいる間と

そのケガや病気が治って会社に出勤してからその後30日の間は会社は絶対的にその労働者を解雇できないですよーということです。

具体的には、たとえば私が会社で仕事中に転んでケガをして20日休んだとします。こんなケースではケガをして休んでいる20日間と

その後会社に出勤してからの30日間、合計50日の期間は会社が私を解雇出来ないことになります。

この業務での休業には、当たり前ですが個人的な仕事に関係のない病気や、通勤時の事故で会社を休んだ際には適用されないので注意が必要です。

 

  • 産前産後の女性が休業する期間及びその後30日間

 

この産前産後、女性が妊娠して出産した後までの期間における休業は労働基準法にて、その期間が具体的に決められていて産前は6週間(42日)産後は8週間(56日)となっています。

その産前産後の期間に仕事を休んでいる間と、その後30日は会社が労働者を解雇することは出来ません。

産前産後の休業に関しては、労働基準法では産前の休業自体は働く人が申し出た場合のみ休ませなければならない期間なので

もし産前の休業を利用しないような場合においては、その期間はこの解雇制限の対象とはならず、産後に休業した期間のみが対象になります。

 

社労士オザワ
タイトルにも書きましたが、この条文の意味はズバリ働けなくなった労働者の方を保護することです。

仕事中ケガをしたり、産前産後で休んでる間に会社を解雇されたら困りますもんね!

根拠になっている実際の条文

解雇制限の期間、労働基準法19条1項

産前産後の休業期間、労働基準法65条1項2項

条文の参考HP

電子政府の総合窓口 e-Gov 労働基準法

 

解雇制限の除外事由

それでは次に、先ほど解説した会社が労働者を解雇出来ない2つの期間ですが、実はこれには解雇制限の除外事由と呼ばれる例外があります。

具体的には以下2つのケースです。

 

事業が継続不能

 

  • 天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合、労働基準監督署長の認定を受ければ解雇できる(業務上休業、産前産後休業両方とも)

 

これは労働基準法19条解雇制限についての条文の言葉なんですが、これだけだと大まかにしかわからないので、この解雇制限の除外事由を

具体的に説明した通達があるのでポイントだけ整理してまとめたいと思います。

ちなみに通達ってなんじゃー!って方は記事にしているのでよかったらご覧ください。

法令・法律・政令・省令・通達、それぞれの違いと意味について

2018.06.30

 

①天災事変      

文字通り、地震や火事で職場が倒壊したり焼失するなどの天災事変が該当します。

②やむを得ない事由  

天災事変に準ずる程度の不可抗力かつ突発的な出来事、そしてこれには事業主が法律違反で事業用の資材を没収され事業の継続が不可能

また税金の滞納で会社が継続できなくなった、そして経営上の見通しの誤りから事業の継続が出来ないなんて場合は当てはまりません。

③事業の継続が不可能

これは事業の全部又は大部分が継続不可能になった場合のみ該当します。

参考通達

昭和63年3月14日基発150号

[PDF]19880314 基発第150号 労働基準法関係解釈例規 … – 情報公開推進局内192ページ

 

そしてこの除外事由に該当しただけでは解雇制限の例外にはならず、実務上は労働基準監督署に解雇制限除外認定申請書を提出し解雇出来ますよ!という認定を受ける必要があります。

実際の申請書は下記厚生労働省のHPからダウンロード可能です。

厚生労働省、主要様式ダウンロードコーナー

 

打切補償

 

  • 使用者が打切補償を支払う場合(業務上休業のみ)

 

業務上の理由でケガや病気になって会社を休んでいる労働者は、打切補償といってその労働者が休んでから3年が経った時に

使用者が平均賃金の1200日分を支払うことで、解雇が可能になります。文字通り解雇を打ち切る補償です。

しかし実際には、労災についての決まりを定めた労働者災害補償保険法という法律で、業務上の理由で療養を開始後3年を経過した後に

傷病手当金を受けている場合は解雇の制限が解除されます。

 

この傷病手当金とは、業務上の事由で仕事を休んだ時は、労災の認定を受ければ休業補償給付という給付を休んだ日ごとに貰えるのですが

その休んだ日にちが1年と6カ月を経過し、なおかつその傷病が重い場合に労基署長の職権で貰える年金です。

社労士オザワ
ちなみに、この打切補償をした際は行政の認定は必要ないので注意が必要です。

根拠になっている実際の条文

解雇制限の除外事由、労働基準法19条1項2項

打切補償、労働基準法81条・労働者災害補償保険法19条

 

解雇制限がそもそも適用されない場合

  • 労働者派遣契約の解除

これ考えてみれば当たり前の事なんですが、労働者派遣は派遣会社と派遣先の会社が労働者派遣契約を交わしているのであって

派遣先が派遣労働者を直接雇用しているわけではなく解雇に当たらないため、この解雇制限は何も関係ありません。ただ派遣元と派遣労働者は

派遣元が派遣労働者を直接雇用しているため、この解雇制限の適用を受けます。

 

  • 期間の定めのある労働契約の終了

そして期間の定めがある労働契約については、解雇の制限はそもそも適用になりません。

たとえば、私が1年の雇用契約を結んで会社で働いたとします。そして退職の直前に業務上の災害で休業したとしましょうこの場合

もし私が1年という期間を定めた雇用契約を結んでいなければ、休業中と職場復帰後30日間は解雇が制限されますが、1年の契約期間がありますので

直前に業務上の災害で休業しても契約期間の満了で退職になります。

ただこの期間雇用の契約を反復して更新しているケースでは、解雇に当たるよ!と解雇制限が適用される可能性が高いので注意が必要です。

参考通達

昭和63年3月14日基発150号

[PDF]19880314 基発第150号 労働基準法関係解釈例規 … – 情報公開推進局内183ページ

 

まとめ

解雇期間の制限に関しては、原則と例外を理解することが重要になります。

そしてこの記事の中では特に、業務上の災害で休業中の労働者を解雇することは法律で禁止されていますので、労働者や会社の経営者とも注意が必要です。

全体で参考にしたHP

独立行政法人労働政策研究・研修機構、法律では解雇に関してどのような規制がありますか。

 

それでは以上で終わります。