年次有給休暇の時間単位での付与とは?制度内容を説明します!

時間単位年休を導入するポイント
スポンサーリンク

こんにちは、社会保険労務士のオザワです!

今回当記事では、時間単位の有給休暇について、そもそもこの制度はどのようなものなのか?

また、この時間単位の有給休暇という制度を導入するには、いくつかのきまりがあるのですが、その内容が少しややこしいので

いくつかのポイントに分けてわかりやすくまとめてみました。

時間単位の年次有給休暇とは?

年次有給休暇、時間単位の取得とは

そもそもこの年次有給休暇の時間単位での取得とはどんな制度なのでしょうか?

簡単に説明すると、これは労働基準法39条4項で定められた

使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合、それが無い場合は労働者の過半数を代表する者との労使協定を定めた時は

有給休暇の日数のうち5日までを時間を単位として与えることが出来ますよという制度です。

ですので、この時間単位の有給休暇はどんな会社でも無条件に働く人が使えるわけではなくて、会社がその取り決めをしている場合しか使えないんですね。

そして時間単位ということで、1時間・2時間と時間を指定して取る有給なので、1時間未満では取得できません

社労士オザワ
もし自分の会社で時間単位の有給休暇が使えるか知りたい人は

自社の就業規則を見てみることをおススメします。これを見てみると、もしこの制度が運用されているなら

休暇の項目に、取得についてのルールが載っている可能性が高いと思います。

根拠条文

労働基準法39条4項、電子政府の総合窓口 e-Gov 労働基準法39条(年次有給休暇)

時間単位の年休、労使協定の内容

時間単位年休、労使協定とは?

それでは次に、先ほど簡単に説明した時間単位の有給休暇ですが、その制度を取り入れるには労使協定が必要になり

そして実際に運用するに当たっては、就業規則でこの時間単位年休についての記載が必要になります。

この労使協定は、こんなことを定めてくださいね!というものが決められているので、ここではその内容を説明します。

またこの内容を理解することで、時間単位の有給休暇の制度についてのきまりもわかってきますよ!

それでは労使協定で定める事項を4点挙げると

 

時間を単位として与えることができる労働者の範囲

なんでこんなこと決めなきゃいけないの?というと、たとえば一斉に作業を行うような業務にはこの時間単位の有給の取得はなじまない

つまり事業の正常な運営の観点からこのような、時間単位の有給休暇を与える労働者の範囲を定めることとされています。

要は、業務上望ましくないなら会社の判断で制度が適用される労働者の範囲を決めていいという事ですね。

ただし、有給休暇は労働者が自由に利用できる権利なので、その利用の目的で対象の労働者の範囲を決めてはいけないことになっています。

 

②時間単位年休の日数

有給休暇は基本的にまとまった日数を与えることがその趣旨なので、この時間単位で与えられる有給休暇は5日までと決められています。

なので、この5日の範囲内で与える日数を決めることになります。

そしてこの時間単位の有給休暇を与える期間ですが、有給休暇の発生日(基準日)から1年間となっています。

図で表すとこんな感じ

有給休暇、時間単位の付与の期間

また、パートやアルバイトなどの短時間労働者に対して比例付与という制度を適用する場合は、その日数が5日に満たない時は

その範囲内でこの日数を決めることになっています。

この比例付与に関しては、以下の記事を参考にしてください。

パート・アルバイトの有給休暇とは?具体例と日数表で簡単理解!

2018.05.11

 

③時間単位年休1日の時間数

これは1日分の有給休暇が何時間分の時間単位の有給に相当するかを決めます。これを決めないと何時間取ったら1日分の有給に当たるのかわからず

有給を何日消費したかの計算が出来ないためです。

この時間単位年休の1日の時間数は、その労働者の1日の所定労働時間をもとにして定めます。

そして1日8時間を所定の労働時間に設定している会社が多いと思うんですが、このような場合は当然1日の時間単位の有給休暇の時間数は8時間となり

たとえば、上記のケースで1年に5日の時間単位の有給休暇を与える場合は5日×8時間で40時間の時間単位の有給を使えることになります。

またここで注意して欲しいのが、もし所定労働時間に1時間に満たない時間があったとしたら、労働者の不利益にならないように1時間に切り上げることになっています。

更に、1日の所定労働時間が日によって異なる場合は、1年間の平均の所定労働時間となります。

そして、年の途中で所定労働時間に変更があった場合は変更した時間に比例して、時間数が変更になります。

●変更前

変更前は3日(1日当たり所定労働時間が8時間)と3時間の有給休暇を持っていた。

●変更後

変更後は3日(1日当たり所定労働時間が4時間に減った)と2時間に変更になる。

ちなみに、所定労働時間に比例して変更すると1.5時間になりますが、1時間未満の端数は切り上げるので2時間になります。

 

④1時間以外の時間を単位とする場合の時間数

1時間以外で時間単位を設定することはあまりないと思いますが、もし2時間・3時間と設定するならこれも労使協定でこれを定義する必要があります。

ただし、この1時間以外の時間を単位とする場合に、その時間を所定労働時間と同じにするとか、それ以上の時間にすることは禁止されています。

なぜなら所定労働時間と同じにしちゃったら、1日の有給休暇を取ることと変わらないからです。

社労士オザワ
この章で説明したことが、基本的な時間単位年休の考え方になります。

ただそれ以外にも、時間単位で有給を取得する!ということで、通常の有給休暇との違いやポイントがいくつかあるので紹介したいと思います。

参考通達

平21・5・29基発0529001号

平21・10・5基発1005第1号

時季変更権と時間単位年休との関係

事業の正常な運営を妨げる場合は、時季変更権と言って労働者から指定された有給休暇の日にちを変更することが出来るのですが

時間単位の有給休暇も上記の事業の正常な運営を妨げる時は時季を変更することは出来ますが、1日を単位に請求した有給を時間に変更することは認められていません。

またこの事業の正常な運営を妨げるかどうかは、労働者からの有給休暇の具体的な請求について個別具体的にそして客観的に判断されるものであるので

事前に労使協定で

  • 時間単位の有給休暇を使ってはいけない時間を設ける
  • 所定労働時間の途中で時間単位の有給休暇の取得を制限する
  • 1日に取得できる時間単位の有給休暇を制限する

こんな定めをすることは禁止されています。

参考通達:平21・5・29基0529001号

有給休暇の計画的付与との関係

有給休暇の計画的付与とは、年5日以上の有給日数を計画的に、労働者にあたえるという制度で

この計画的付与は日を単位として与えることが原則なので、この時間単位の有給休暇を計画的付与であたえることは出来ません。

参考通達:平21・5・29基発0529001号

時間単位の有給を翌年度に繰り越したらどうなるの?

翌年度

通常有給休暇は、日数が発生してから2年間は繰り越せますが、時間単位の有給休暇はどうなるのでしょうか?

これ結論から言うと、通常の有給休暇と違って時間単位の有給休暇は、1つの年度で5日しか認められていないので

もし1年で使いきれなかった1時間とか2時間の半端な時間単位の有給休暇が残ってしまった時は、翌年度はその分も含めての5日の時間単位の有給休暇となります。

社労士オザワ
ただこれ言葉だけだと意味不明だと思うので、図を使って説明すると・・
有給休暇、時間単位の付与の繰り越し図
具体的な計算手順

①時間単位の有給を35時間使ったので、これを日単位の有給に直すと

35時間(有給を取った時間)÷8時間(所定労働時間)=4日の有給と3時間の有給を使ったということになります。

 

②普通の日単位の有給を2日使ったので、時間単位を日に直した分に足すと

4日(時間単位を日に直した分)+2日=6日の有給休暇を使ったことになります。

 

③持っていた有給から、使った有給を引く

10日(元々持っていた分)-6日(使った有給)-3時間(使った時間有給)=3日と5時間の有給休暇が残ったことに

ちなみに使った3時間の有給休暇は、所定労働時間が8時間なので、8-使った3時間の時間有給という計算をして残りを出しました。

 

そして、新しい2年目の年度ではこの繰り越された有給休暇3日と5時間に、新しく発生した11日、の中から5日分の時間有給を使える!ということになります。

社労士オザワ
たとえ数時間の有給休暇が繰り越されても

繰り越し分+5日の時間有給が翌年度は使える、といわけではありません。

あくまでも時間単位の有給は1年で5日しか使えません。

まとめ

今回は、有給休暇の時間単位での付与についての話でしたが

そもそも有給休暇ってどんな条件で、いつ何日発生するのかわからないという方のために記事を書いているのでよかったら参考にしてください。

有給休暇の仕組、どんな条件でいつ何日発生するのかをわかりやすく解説

2018.04.27

また有給休暇についての最新情報である、時季指定義務化の記事もあります。

有給休暇取得義務化の内容を解説!誰が対象?会社での対応は?

2018.07.06

全体で参考にしたHP

厚生労働省、年次有給休暇の時間単位付与(PDF)

それでは以上で終わります。

スポンサーリンク

ABOUTこの記事をかいた人

社労士オザワ

2017年6月に都内で社会保険労務士の登録をしました。 現在非開業、その他登録の社労士です。 このブログでは、労働関係の法律についての知識や 自身の体験を元に、労務管理の情報を発信しています。