労働基準法をわかりやすく解説!目的や内容、法違反の結末まで

労働基準法を知ろう!

皆さんは労働基準法ってどんな法律かご存知ですか?

言葉自体はニュースでよく聞いている方も多いと思いますが、実際その中身を知っている人は少ないかもしれません。

かく言う私も社会保険労務士の勉強をするまでは、名前だけは知っているけど、どうせ会社では守られていない法律なんだろ?(笑)なんていう認識しかありませんでした。

 

そこで今回はそんな労働基準法の目的や内容について、身近な例を用いながら初心者の方でも簡単に理解できるように順を追って説明していき

そして更に踏み込んでこの法律の罰則から労働基準監督署が来て法違反がバレてしまう流れや、法違反がバレたら起こる会社にとってまずいこと

当ブログ管理人
また最後には、労働基準法を守らないと会社が疲弊してしまうような重大な危険がありますよーと個人的に思っているんですが、そう思う理由なんかを見ていきたいと思います。

 

労働基準法の目的を簡単に説明すると

法律の本

そもそも労働基準法とはどんな法律なんでしょうか?

この労働基準法とは、日本国憲法25条1項を理念とし、また同27条2項を根拠にして昭和22年(1947年)に定められた法律です。

日本国憲法第25条、生存権

1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

27条

1項 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

2項 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

3項 児童は、これを酷使してはならない。

条文の引用HP:電子政府の総合窓口 e-Gov 日本国憲法

 

この憲法の規定を踏まえて、労働条件の目的が書かれている労働基準法の1条

そしてこの法律の効果が書かれている13条をみると、労働基準法の目的や効果が簡単に理解できます。

 

労働基準法第1条、労働条件の原則

1項 労働条件は、①労働者が人たるに値する生活を営むための必要をみたすべきものでなければならない。

2項 ②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

同法13条、この法律違反の契約

③この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。

条文の引用HP:電子政府の総合窓口 e-Gov 労働基準法

(以下の労基法の条文もこのHPから引用しています。)

 

当ブログ管理人
難しい言葉が多く出てきたのでここで解説すると
①は職場で働く労働者の労働条件は人として最低限の生活水準が維持できるものでなければダメだ!

という意味で、始めにも書いた憲法の生存権に対応しています。

②はこの法律で決めた労働条件は

(1日に働いていい時間は8時間までですよとか、8時間を超えて働いたら1時間は必ず休憩してくださいねとか)

最低限のルールだからそれを理由に今ある労働条件を低くしてはダメ!

(1日7時間が労働時間だけど法律を見たら8時間だった!なら8時間に変更だ!とか)ということ。

③この法律で定めた労働条件のルールに違反した労働条件を定めた場合は、その労働条件は無効となって自動的に労働基準法のルールが適用される

(1日9時間の労働条件を定めた場合は無効になり、法定の8時間に自動的に変更されるとか)ということです。

ちなみに、この労働条件を強制的に無効にすることを強行的効力、また無効になった労働条件を法定のものに置き換えることを直律的効力と言います。

そしてこの法律は条文ごとに罰則が定められています。その内容は後の章でまとめています。

 

そしてこの条文を踏まえたうえでこの法律の目的と効果を簡単に言い表すと

労働基準法とは
国が最低限の労働条件を定めた法律で

それに違反すると罰則が適用されるとともに、強制的にその労働条件を無効にして労基法の条件に置き換える

要は会社に対して相対的に弱い立場の労働者を強制力をもって守る、そんな目的を持った法律だと言えます。

 

労働基準法の内容

メモ

そしてこの労働基準法には様々な労働条件の基準が定められていて

実際見てみると私達が身近に感じるものから、こんな細かい所まで決められているのか!?というものまであります。

そこでこの項目では主にどんな法律の基準が定められているのか、ということを簡単に箇条書きでまとめていきたいと思います。

(当ブログで関連のある記事は下に載せておきます。また無いものについては、行政のHPを案内している記事があるのでそちらを参考にしてください。)

 

労働基準法の主な項目

  • 労働基準法の基本7原則

労働基準法2条労働条件の決定、法理念や労使対等は言葉だけなのか?

労基法3条、均等待遇の原則(裁判例も合わせて)

労基法4条、男女同一賃金の原則とは(裁判例も合わせて)

  労基法5条、強制労働の禁止

労基法6条、中間搾取の排除、派遣と労働者供給の違いってなんだ!?

労基法7条、公民権行使の保障(裁判員になったら会社を休めるの?)

 

  • 使用者と労働者の労働契約や解雇に関する決まりごと

労働基準法19条解雇制限とは?働けない労働者を保護する条文

2018.08.20

雇用契約書と労働条件通知書について息子がオカンに解説!

2018.06.23

労基法14条労働契約の期間の上限(3年が限度!?)

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  • 働く上での労働時間や休憩・休日の定義と限度

法定休日と所定休日、振替休日と代休、何が違うのか教えます。

2018.04.26

労基法上の労働時間・休憩の基本と定義を知って未払い賃金を防ごう

2018.04.19

 

  • 賃金を支払う際のルールと時間外の労働や休日に関する割増賃金

 

  • 有給休暇の日数と取得条件

短時間労働者でも有給休暇がもらえるって知ってました?

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有給休暇の仕組みとは?最低限押さえておきたいルールを解説!

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  • 年少者や妊産婦が働く際の規制

 

  • 就業規則の届け出義務と内容

 

+働き方改革関連法案での今後の労基法改正予定の内容(時間外労働の上限規制・有給休暇の取得義務化・フレックスタイム制)

働き方改革関連法案の施行日と概要を簡単にまとめてみた。

2018.07.02

 

この労働基準法の規制では足りない事項に関しては

男女雇用機会均等法や労働者派遣法・労働契約法など別の労働関係の法律が定められており労働基準法の内容を補っています。

 

当ブログ管理人
お前のブログじゃなくて、公的なサイトで詳しく見てみたいんじゃー!って方には

労働者向けに書きましたが、労働基準法が学べる公的なサイトをまとめた記事があるのでよかったらチェックしてください。

厚生労働省の、労基法を中心とした仕事で困ったら見るサイトまとめ

2018.06.16

 

労働基準法が適用される事業・適用されない事業

会社

次にこの法律が適用される条件があるので、見ていきましょう!

まず初めに労働基準法は会社単位ではなく、事業場(支社とか支店とか個別の職場)単位で法律を適用して

そしてこの法律は労働者を1人でも雇っている事業場が対象になります。

特に労働者は正社員だけでなくアルバイトなどの全ての労働形態が対象になるので要注意!(要は働いている人は全員対象になる)

また一緒に住んでいる家族のみを雇っている会社(他に1人でも同居の家族以外の人がいたらダメ)とかお手伝いさん・家政婦などの家事使用人は労働基準法の適用除外となります。

 

参考HP

厚生労働省、岩手労働局、適用労働者と適用事業

厚生労働省、労働条件に関する情報サイト、従業員を一人でも雇えば労基法は適用されるのですか?

根拠条文(適用除外)

労働基準法116条

 

 労働基準法の労働者と使用者の定義

労働者と使用者

なぜこんな定義が必要なのかというと、労働者は法律で守られる側・使用者は法律を強制される側となりそれぞれ法律の影響を受けるため、明確な区別が必要になります。

特に使用者に定義されると、労働基準法の規定に違反する行為をすると罰則を受ける対象になるのでこの理解は重要です。

それではこの定義は条文に書いてあるので下に載せてみました。

 

法第9条

この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者をいう。

 

この理解は簡単で、事業主に雇われて事業主から賃金を受ける者が労働者となるんだよということ。また当然ですが、法人の代表者や取締役は除きます。

 

そして使用者の定義は少し難しくなり、条文では

法第10条

この法律で使用者とは、①事業主又は②事業の経営担当者その他③事業主のために行為をする全ての者をいう。

 

と書いてあるんですが、少し難しい表現なので以下具体的に説明すると

事業主 

法人そのもの(会社そのもの)

法人の代表者

個人事業主は個人

事業の経営担当者

取締役等(事業経営に関して権限と責任を負うもの)

事業主のために行為をする者

中間管理職等(たとえば事業主から給料や労働時間等の労働条件決定の権限、労働契約に基づく残業や出張等の業務命令についての権限を与えられていているものです。)

このような方々が労基法上の使用者になり

この中で③は単なる上司の伝令にすぎない場合除き、また使用者としての責任は権限の程度によって変わります。

 

特に事業主のために行為をする者は使用者としての性格(使用者から権限を与えられている)と労働者としての性格(賃金を支払われている)を持ち合わせているので、労基法の罰則が適用されるため注意が必要です。

え?社長だけでなくて自分も罰せられるの!?ということが無いように・・

 

参考HP

独立行政法人労働政策研究・研修機構、「使用者」の定義

 

労働基準法違反の罰則

そしてこの労働基準法ですが、条文ごとに罰則が定められています。

具体的には

  • 1年以上、10年以下の懲役又は、20万円以上300万円以下の罰金

強制労働の禁止

  • 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

最低年齢・年少者の坑内労働の禁止・中間搾取の排除・妊産婦の坑内労働の禁止

  • 6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

年次有給休暇・割増賃金・法定休日・休憩・法定労働時間・解雇予告・解雇制限・公民権行使の保障・男女同一賃金・均等待遇等

  • 30万円以下の罰金

労働者名簿賃金台帳の調整・退職時の証明・労働条件の明示・労働契約の期間・労使協定の届け出・休業手当・賃金支払いの5原則・就業規則の作成届け出等

 

そしてこの罰則が適用される対象はもちろん使用者です。

ただこの罰則が適用される範囲は一般的に考えられるような社長だけではないですよーというのは先ほどの章で説明した通りです。

なので、この労働基準法は会社の代表だけではなくて、中間管理職などの事業主のために行為をするものに当たる人もこの理解は重要になってきます。

 

そしてこの罰則はそれ以外にも両罰規定という決まりがあって

事業主の知らない所で法違反があった場合

  • この法律の違反をした者が、労働者に関する事項について事業主のために行為をした代理人、使用人、その他の従業員である場合には違反した者に加えて事業主には罰金刑のみが科せられる
ただし違反行為に対して事業主がその行為についての防止措置をとっていた場合はこの規定は適用されない。

事業主が法違反を知っていた場合

具体的には

  • 事業主が違反行為を知りながら防止措置を講じなかった又は、違反行為を教唆(違反行為をしろ!と指示する)こんなケースでは事業主も行為者として罰せられます。

 

根拠条文

労働基準法121条

 

労働基準監督署の調査と指導の流れ

それでは次にこの労働基準法はその取り締まりを行うための特別の行政機関を有していて、このことを知ることで労働基準法違反の実際の取り締まりの流れが理解できます。

 

この行政機関をかなり大まかに図で表してみると

労働基準行政の図

こんな風になり、この図の中で一番下の労働基準監督署(内労働基準監督官)が第一線で、会社が労働基準法を守っているか監督及び指導をすることになります。

 

また、この労働基準監督署に勤務する労働基準監督官には特別の権限が与えられていて

  • 労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う

法律でこの労働基準監督官は、同法違反について犯罪についての捜査・差し押さえをする権限があるということ

  • 事業場に臨検(事業場に立ち入り調査すること)し帳簿及び書類の提出を求め又は使用者・労働者に対して尋問する権利
当ブログ管理人
要は労働基準監督官とは労働基準法を取り締まる警察官なので、もし労基署から指導を受けた際に

ただの役所の公務員でしょ?なんて軽い気持ちでいると非常に危険です。

警察官から指導されているんだ!という気持ちを持つことが大切だと思います。

 

そして労働基準監督署の監督と取り締まり方法は以下の通りで、この過程で会社の労働基準法違反がバレてしまうケースが多いです。

厚生労働省のHP内にわかりやすい図があったので、それを見ながら説明していきたいと思います。

労働基準監督業務の流れ

引用:厚生労働省労働基準局、労働基準監督行政について

 

  • 労働基準監督署の定期的に調査をするケース

労働基準監督署が会社に来たことなんて一度もない!なんて会社の方が多いのが現状だと思いますが、監督署では定期監督といって

監督署の管轄内の事業所を無作為に選んでの呼び出しての調査や臨検監督(事業所に直接訪れての調査)を行っています。その調査で会社の労務関係の書類を調査し

違反している項目がある場合は

①是正勧告(この項目が法違反に当たるから、改善するように是正報告書を提出してくださいねという指導)

是正報告書を出しても法違反が是正されない、あるいは無視した場合

②再監督

違反はしていないが、今後違反する恐れがあるもの

③指導票が交付されます。

当ブログ管理人
要は法違反が見つかったからと言ってすぐ送検されるわけではなく、改善して報告書を提出すればいいということです。

ただこの是正報告を無視し続けた場合や虚偽の報告をした場合は悪質と判断され送検され罰せられる可能性があります。

 

  • 労働者が労働基準監督署に直接法違反を申告するケース

これは労働者が、職場で起きた労基法違反を労基署に申告するものです。

そして当たり前ですがこの労基署への申告を理由に会社が労働者に対して、不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

この申告も、労基署で受理されれば会社に呼び出しての調査や直接の調査が労基署により行われることになります。

 

参考HP

厚生労働省、労働基準関係

上記HP内の

労働基準監督署の役割(PDF)

根拠条文

労働基準監督官の権限、労働基準法101・102条

監督機関に対する申告、労働基準法104条

 

法違反の結末、未払い残業代の支払い

法違反の結末

ここまで見てきて多分皆さんは

法違反してもすぐ捕まるわけじゃないんだから、労働基準法なんて守らなくてもいいじゃん!なんて思うかもしれません。

でも、もし捕まらなくても会社の従業員に対する未払いの残業代を指摘されたらどうでしょうか?

 

未払い賃金の時効は2年なんですが、全従業員の未払いの残業代の2年分・・・会社の規模にもよると思いますが結構きついと思います。

また最近ではヤマト運輸が従業員の未払い残業代を約7万人に総額230億円?というニュースが話題になりましたよね

 

実際には労基署に差し押さえをする権限はないので、その未払い請求はおかしい!と反発すると従業員と裁判での争いになるんですけど、労基署も根拠を持って指摘しているので、裁判で勝つ可能性は少ないでしょう。

そして何よりその未払い賃金を払う余裕のない会社は、その先の経営の見通しが暗くなることは言うまでもないと思いますので、捕まらないからいいじゃん!という考え方は危険です。

 

法違反で会社が疲弊する

私がこの記事の前書きで法違反が会社を疲弊させる危険性があると書いた理由は、先ほど書いた未払い残業代の話だけでもいいんですが

それ以外にも労働基準法を守らないとこんなことが起きますよ!というか実際起きた体験談があるのでここで紹介したいと思います。

 

以前私が勤めていた会社では、責任者が労働基準法についての知識に疎く、従業員の休憩時間は確保していましたが、休憩時間中に電話対応をさせていたり

仕事が終わった後も会議を行ったり、ミスがあると居残りさせて業務を行わせていて、それなのにどれくらい残業したかの把握も行わず、残業代の支払いもありませんでした。

その管理者はお客様のためだー!というのが口癖で、私や他の従業員も休憩時間中に電話対応などの業務を行うこと、上司も遅くまで残ってサービス残業をして働いていたので、残業代が支払われないことは当たり前だと思っていました。

しかしそれが1年2年続くと、従業員は休憩もままならず、終わらない残業に疲弊していき

そして、意識していなくてもメディアなどから入ってくる労働問題のニュース、その後私の事業所では退職者が続出し会社が問題視することで責任者が変わりました。

 

その新しい責任者は労務管理を重視すること、また従業員を大切にすることを1番に置いて無意味な残業は禁止し、また残業を許可制にして残業代はきちんと支払われる管理を徹底

結果その事業所で退職する従業員は大幅に減りましたが、人手不足が深刻化する昨今、会社を辞めた即戦力になる従業員の穴埋め難しく、その後従業員の確保に苦労していました。

 

これは一つの事例にしか過ぎませんが、労働基準法を守らないで会社を運営していると人材流出は止まらないのが必然の流れだと思います。

特に会社にとって大切な、スキルや経験がある人ほど他にいくらでもある転職先と見比べて、労働環境が悪いなら会社から離れていくでしょう。

 

まとめ

今回は労働基準法のアウトラインと法違反をするとどうなるのか?に焦点を置いて解説しましたが、如何だったでしょうか?

労働基準法なんて守ってる会社なんてないよ!という何度も聞いたことがある経営者の言葉、法違反をすると労基署から指摘をされたり、未払い残業代を払うはめになる

でも一番怖いのは、従業員を大切にしないことにより従業員のやる気が無くなったり、理由こそ言わないが即戦力の社員が退職してしまったりすることによる会社の人的損失です。

そして最後に私は声を大にして言いたい

労働基準法違反は会社を疲弊させますよ!

 

それでは以上で終わります。