労働基準法をわかりやすく解説!目的や内容、法違反の結末まで

労働基準法を知ろう!

皆さんは労働基準法ってどんな法律かご存知ですか?

言葉自体はニュースでよく聞いている方も多いと思いますが、実際その中身を知っている人は少ないかもしれません。

かく言う私も社会保険労務士の勉強をするまでは、名前だけは知っているけど、どうせ会社では守られていない法律なんだろ?(笑)なんていう認識しかありませんでした。

 

そこで今回はそんな労働基準法の目的や内容について、身近な例を用いながら初心者の方でも簡単に理解できるように順を追って説明していき

そして更に踏み込んでこの法律の罰則から労働基準監督署が来て法違反がバレちゃう流れや、バレたら起こる会社にとってまずいこと

社労士オザワ
また最後には、労働基準法を守らないと会社が滅んでしまうような重大な危険がありますよーと個人的に思っているんですが、そう思う理由なんかを見ていきたいと思います。

 

労働基準法の目的を簡単に説明すると

法律の本

そもそも労働基準法とはどんな法律なんでしょうか?

これは、労動条件の目的が書かれている法第1条、そしてその効果が記載されている法第13条を見るとこの法律の意味と目的が簡単に理解できます。

 

法第1条

1項 労働条件は、①労働者が人たるに値する生活を営むための必要をみたすべきものでなければならない。

2項 ②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

法13条

この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。

条文の引用HP:電子政府の総合窓口 e-Gov 労働基準法

(以下の労基法の条文もこのHPから引用しています。)

 

難しい言葉ばかりが出てきたと思うので、ここで解説します。

①は職場で働く労働者の労働条件は人として最低限の生活水準が維持できるものでなければダメだ!という意味

②はこの法律で決めた労働条件は(1日に働いていい時間は8時間までですよとか、8時間を超えて働いたら1時間は必ず休憩してくださいねとか)

最低限のルールだからそれを理由に今ある労働条件を低くしてはダメ!(1日7時間が労働時間だけど法律を見たら8時間だった!なら8時間に変更だ!とか)ということ。

③この法律で定めた労働条件のルールに違反した労働条件を定めた場合は

その労働条件は無効となって自動的に労働基準法のルールが適用される(1日9時間の労働条件を定めた場合は無効になり、8時間に自動的に変更されるとか)ということです。

 

そしてこの条文を踏まえたうえでこの法律を簡単に言い表すと

労働基準法とは
国が最低限の労働条件を定めたもので、それに違反すると強制的にその労働条件を無効にしちゃう

要は会社に対して相対的に弱い立場の労働者の防波堤になる、そんな目的を持った法律だと言えるでしょう。

 

労働基準法の内容

メモ

そしてこの労働基準法には様々な労働条件の基準が定められていて

実際見てみると私達が身近に感じるものから、こんな細かい所まで決められているのか!?というものまであります。

そこでこの項目では主にどんな法律の基準が定められているのか、ということを簡単に箇条書きで示していきたいと思います。(当ブログで関連のある記事は下に載せておきます。)

 

労働基準法の主な項目

●使用者と労働者の雇用契約や解雇に関する決まりごと

雇用契約書と労働条件通知書について息子がオカンに解説!

2018.06.23

労基法14条労働契約の期間の上限(3年が限度!?)

2018.05.24

 

●働く上での労働時間や休憩・休日の定義と限度

法定休日と所定休日、振替休日と代休、何が違うのか教えます。

2018.04.26

労基法上の労働時間・休憩の基本と定義を知って未払い賃金を防ごう

2018.04.19

 

●賃金を支払う際のルールと時間外の労働や休日に関する割増賃金

 

●有給休暇の日数と取得条件

有給休暇の仕組みとは?最低限押さえておきたいルールを解説!

2018.04.27

 

●年少者や妊産婦が働く際の規制

 

●就業規則の届け出義務と内容

 

この労働基準法の規制では足りない事項に関しては

男女雇用機会均等法や労働者派遣法・労働契約法など別の労働関係の法律が定められており労働基準法の内容を補っています。

 

社労士オザワ
お前のブログじゃなくて、公的なサイトで詳しく見てみたいんじゃー!って方には

労働者向けに書きましたが、労働基準法が学べる公的なサイトをまとめた記事があるのでよかったらチェックしてください。

厚生労働省の、労基法を中心とした仕事で困ったら見るサイトまとめ

2018.06.16

 

この法律が適用される事業・適用されない事業

会社

次にこの法律が適用される条件があるので、見ていきましょう!

まず初めに労働基準法は会社単位ではなく、事業場(支社とか支店とか個別の職場)単位で法律を適用して

そしてこの法律は労働者を1人でも雇っている事業場が対象になります。

特に労働者は正社員だけでなくアルバイトなどの全ての労働形態が対象になるので要注意!(要は働いている人は全員対象になる)

また一緒に住んでいる家族のみを雇っている会社(他に1人でも同居の家族以外の人がいたらダメ)とかお手伝いさん・家政婦などの家事使用人は労働基準法の適用除外となります。

 

参考HP

厚生労働省、岩手労働局、適用労働者と適用事業

厚生労働省、労働条件に関する情報サイト、従業員を一人でも雇えば労基法は適用されるのですか?

根拠条文(適用除外)

労働基準法116条

 

 労働者と使用者の定義

労働者と使用者

なぜこんな定義が必要なのかというと、労働者は法律で守られる側・使用者は法律を強制される側となりそれぞれ法律の影響を受けるため、明確な区別が必要になります。

特に使用者に定義されると、労働基準法の規定に違反する行為をすると罰則を受ける対象になるのでこの理解は重要です。

それではこの定義は条文に書いてあるので下に載せてみました。

 

法第9条

この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者をいう。

 

この理解は簡単で、事業主に雇われて事業主から賃金を受ける者が労働者となるんだよということ。また当然ですが、法人の代表者や取締役は除きます。

 

そして使用者の定義は少し難しくなり、条文では

法第10条

この法律で使用者とは、①事業主又は②事業の経営担当者その他③事業主のために行為をする全ての者をいう。

 

と書いてあるんですが、少し難しい表現なので以下具体的に説明すると

事業主 

法人そのもの(会社そのもの)

法人の代表者

個人事業主は個人

事業の経営担当者

取締役等(事業経営に関して権限と責任を負うもの)

事業主のために行為をする者

中間管理職等(たとえば事業主から給料や労働時間等の労働条件決定の権限、労働契約に基づく残業や出張等の業務命令についての権限を与えられていているものです。)

このような方々が労基法上の使用者になり

この中で③は単なる上司の伝令にすぎない場合除き、また使用者としての責任は権限の程度によって変わります。

 

特に事業主のために行為をする者は使用者としての性格(使用者から権限を与えられている)と労働者としての性格(賃金を支払われている)を持ち合わせているので、労基法の罰則が適用されるため注意が必要です。

え?社長だけでなくて自分も罰せられるの!?ということが無いように・・

 

参考HP

独立行政法人労働政策研究・研修機構、「使用者」の定義

 

労働基準法違反の罰則と労基署の取り締まりの流れ

それでは、この労働基準法って違反したらどんな罰則があるのでしょうか?

この法律の罰則は、条文ごとに

①1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金

②1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

③6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

④30万円以下の罰金、ということが決められていて

そしてこの罰則は両罰規定と言って、従業員が違反したことに対して事業主がその違反行為を知らなかったとしても罰金刑が、もし知っていて放置していたら懲役刑又は罰金刑が科せられることになっています。

もちろん事業主がその違反行為に対しての防止措置をとっていたならこの規定は適用されません。

 

そして実際にこの労働基準法違反が指摘される(バレちゃう)のは、主に以下の2点が挙げられます。

①労働基準監督署の監督指導が行われるケース

②労働者が労働基準監督署に申告をしたケース

労働基準監督署が会社に来たことなんて一度もない!なんて会社の方が多いのが現状だと思いますが、監督署では定期監督といって

監督署の管轄内の事業所を無作為に選んでの呼び出しての調査や臨検監督(事業所に直接訪れての調査)を行っています。

そしてその調査で会社の労務関係の書類を調査し、違反している項目がある場合は、是正勧告(この項目が法違反に当たるから、改善するように是正報告書を提出してくださいね)という指導が入ることになり

また違反は無くても違反する恐れがある事項には指導票が交付されます。

要は法違反が見つかったからと言ってすぐ送検されるわけではなく、改善して報告書を提出すればいいということです。

しかし、この是正報告を無視し続けた場合や虚偽の報告をした場合は悪質と判断され送検され罰せられる可能性があります。

これは労働者が、職場で起きた労基法違反を労基署に申告するもので、近年労働者の権利意識が高くなってきたことで申告数は増加傾向にあります。

この申告も、労基署で受理されれば会社に呼び出しての調査や直接の調査が労基署により行われることになります。

 

参考HP

厚生労働省、労働基準関係

上記HP内の

労働基準監督署の役割(PDF)

労働基準監督官の仕事(PDF)

 

法違反の結末、未払い残業代の支払い

法違反の結末

ここまで見てきて多分皆さんは

法違反してもすぐ捕まるわけじゃないんだから、労働基準法なんて守らなくてもいいじゃん!なんて思うかもしれません。

でも、もし捕まらなくても会社の従業員に対する未払いの残業代を指摘されたらどうでしょうか?

 

未払い賃金の時効は2年なんですが、全従業員の未払いの残業代の2年分・・・会社の規模にもよると思いますが結構きついと思います。

また最近ではヤマト運輸が従業員の未払い残業代を約7万人に総額230億円?というニュースが話題になりましたよね

ヤマト運輸:未払い残業代支給 法定の過去2年分 – 毎日新聞

 

実際には労基署に差し押さえをする権限はないので、その未払い請求はおかしい!と反発すると従業員と裁判での争いになるんですけど、労基署も根拠を持って指摘しているので、裁判で勝つ可能性は少ないでしょう。

そして何よりその未払い賃金を払う余裕のない会社は、その先の経営の見通しが暗くなることは言うまでもないと思いますので、捕まらないからいいじゃん!という考え方は危険です。

 

法違反で会社が疲弊する

私がこの記事の前書きで法違反が会社を滅ぼす危険性があると書いた理由は、先ほど書いた未払い残業代の話だけでもいいんですが

それ以外にも労働基準法を守らないとこんなことが起きますよ!というか実際起きた体験談があるのでここで紹介したいと思います。

 

以前私が勤めていた事業所では、管理者が労働基準法についての知識に疎く、従業員の休憩時間は確保していましたが、休憩時間中に電話対応をさせていたり

仕事が終わった後も会議を行ったり、ミスがあると居残りさせて業務を行わせていて、それなのにどれくらい残業したかの把握も行わず、残業代の支払いもありませんでした。

その管理者はお客様のためだー!というのが口癖で、私や他の従業員も休憩時間中に電話対応などの業務を行うこと、上司も遅くまで残ってサービス残業をして働いていたので、残業代が支払われないことは当たり前だと思っていました。

しかしそれが1年2年続くと、従業員は休憩もままならず、終わらない残業に疲弊していき

そして、意識していなくてもメディアなどから入ってくる労働問題のニュース、その後私の事業所では退職者が続出し会社が問題視することで管理者が変わりました。

 

その新しい管理者は労務管理を重視すること、また従業員を大切にすることを1番に置いて無意味な残業は禁止し、また残業を許可制にして残業代はきちんと支払われる管理を徹底

結果その事業所で退職する従業員は大幅に減りましたが、人手不足が深刻化する昨今、会社を辞めた即戦力になる従業員の穴埋め難しく、その後従業員の確保に苦労していました。

 

これは一つの事例にしか過ぎませんが、労働基準法を守らないで会社を運営していると人材流出は止まらないのが必然の流れだと思います。

特に会社にとって大切な、スキルや経験がある人ほど他にいくらでもある転職先と見比べて、労働環境が悪いなら会社から離れていくでしょう。

それじゃ会社はどうすればいいんだよ!と言われそうなので、その解決方法は記事にしてみました。↓

人手不足対策には労務管理研修とその後のケアが効果大!

2018.08.02

 

まとめ

今回は労働基準法のアウトラインと法違反をするとどうなるのか?に焦点を置いて解説しましたが、如何だったでしょうか?

労働基準法なんて守ってる会社なんてないよ!という何度も聞いたことがある経営者の言葉、法違反をすると労基署から指摘をされたり、未払い残業代を払うはめになる

でも一番怖いのは、従業員を大切にしないことにより従業員のやる気が無くなったり、理由こそ言わないが即戦力の社員が退職してしまったりすることによる会社の人的損失です。

そして最後に私は声を大にして言いたい

労働基準法違反は会社を滅ぼすと。

 

それでは以上で終わります。

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