労働基準法2条労働条件の決定、法理念や労使対等は言葉だけなのか?

労使対等のカギは労働組合にあり

労働基準法1条から7条までは、労基法の基本7原則と呼ばれていてこの法律の基本的な考え方を示した憲章的な条文と言える。

この2条労働条件の決定(労使対等の原則)は1条と合わせて労務管理に直接生かせるという性格の条文ではないが、労基法の基礎と位置付けられており、労働基準法を理解する上で大切な訓示的(理念的)な規定だ。

ここで皆さんは思うかもしれない

理念規定なら罰則もないしこんな条文に意味なんてないのでは?労使対等なんて言葉だけじゃないの?

そこで今回はこの条文の用語や内容を解説するだけではなく、この条文の意味や労使対等を実現する方法までを書いていきたいと思う。

 

また労働基準法1条労働条件の原則については、下記の記事の中で記載してあります。

労働基準法とは?法違反が会社を滅ぼす。

 

それではまず初めにこの条文の内容を見ていこう!

 

労働条件の決定(労使対等の原則)とは?

内容は以下の条文に記載してあります。

法2条

1項、労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

2項、労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を順守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

 

1項は実質は使用者の方が、労働者との間において力関係では上になってしまうので、労働条件の決定は労働者と使用者が対等の立場で決定してくださいね!という規定。

これが労使対等の原則と言われているものです。

そして2項は読んでそのまま、労働者・使用者双方が労働協約、就業規則、労働契約を守ってなおかつその中に規定されている義務を履行してくださいということ。

特に2項は

民法1条2項

権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

 

上記は信義則といい、人と人との社会生活においては、権利の行使や義務の履行にあたって相手方の信頼や期待を裏切らないように誠意をもって行ってくださいね!ということで

この民法の基本的な考えを労働基準法に取り入れたものです。

そしてこの労働基準法第2条は労働基準法の基本的な考え方を示した理念的な規定のため罰則はありません。

用語解説

ここでは知らない人のために、先の条文で出てきた2つの用語について解説していきます。皆さんは労働協約や就業規則ってどんなものか知っていますか?

労働協約

労働組合と使用者が団体交渉によって合意した労働条件を書面にまとめたもの。その組合員にのみ効力が生じます。

就業規則

常時使用する労働者が10人以上の事業場は作成し、労働基準監督署に提出しなければならない、内容は絶対的必要明示事項と相対的明示事項に分かれていて、職場の労働者の労働条件や服務規律を定めて書面にしたものです。

それぞれの法的力関係は?

労働協約・就業規則・労働契約、労働者と使用者が守らなければならないものが3点出てきましたが、この3点と労働基準法を含めて力関係(優先順位)があります。

この法的な優先順位は

①労働基準法②労働協約③就業規則④労働契約

この順番通りになっており

就業規則に反した労働契約はその規定が無効になり就業規則が適用される。

労働協約に反した就業規則・労働契約はその規定が無効となり労働協約が適用。

法律に違反した労働協約・就業規則・労働契約はその規定が無効となり法律が適用されます。

 

この訓示的(理念的)規定に意味はあるのか

そして初めに皆さんが思っているだろう疑問、こんな罰則のない訓示的な規定に意味はあるのか?という疑問に答えていきたい。

これは、会社で考えるとわかりやすいと思う。会社を経営していくうえでその考えの元になっているものが経営理念だ。

朝の朝礼で毎日復唱している会社もあるかとは思うが、この会社の経営理念があることによって従業員が何のために働いているのか、顧客にどのような価値を提供するのかが明確になる。

またこれとは別に経営戦略という言葉も同じだろう、経営戦略を立てることによって会社が経営上何をするかが明確になるり個々の事業所や従業員が目標を立てやすくなる。

そしてこの経営理念や経営戦略といった基本的な考え方がないと、その先の細かい目標設定があいまいになってしまう。

この言い方が正しいか私にはわからないが、個人的にはこの労働基準法の基本7原則、特に1条と2条はこの法律の経営戦略的条文ではないかと考えている。

なぜなら、実際この訓示的な規定の考え方にそって労働基準法の個々の細かい条文が規定されているからだ。

特に会社と違ってこの法律は労働者の労働環境をを守るための重要な法律なので、この1条を含め今回解説した2条の条文はとても意味があるものだと思う。

 

労使対等は実現可能か

そして次の疑問、労使対等なんて言葉だけではないのか?という疑問に答えたい。

実際普通に考えれば労働者に対して使用者がの方が力が強いのは当たり前だ。

そしてこの法2条1項の労使対等の原則なんて実現することは不可能に思える、そこで労働基準法とは別に用意されている法律が労働組合法です。

以下に簡単な法律の説明をしていくと

●労働組合法

憲法28条に規定する労働者の団結権・団体交渉権・団体行動権について法律で具体的に示したもの。

この労働組合法上の労働組合と認められれば、正当な団体交渉での刑事面罰や、民事免責など法的な保護が受けられる、そしてこの法律では労働組合法上の労働組合との団体交渉は

会社においては必ず受けなければならないことになっている。

この法律によって、立場の弱い労働者に団結する権利を法的に与えて、団結した組合には保護を

そして会社には労働条件に関する団体交渉を受けることを義務づけて、労使対等が実現できるようにしています。

以前私が居た職場では労働組合の活動が活発でしたが、その当時は給料から組合費が引かれるし職場の代表になると定期的な会合に出席しなければならないしで面倒だと思っていました。

その会社はクローズドショップといって労働者は組合に加入しなければならないという制度を採用していたので、組合から抜けられず全社員参加でしたが

団体交渉の出席率はいつも数人という状況でした。また世間的にも労働組合の組織率は低下しています。

しかし、その後労働組合が無い会社に勤めた時に思いました。

労働条件を中心とした給料やボーナスのなどを会社と交渉しないで一方的に決められるのは使用者と労働者が対等だとは言えない、自分が以前勤めていた会社はなんて恵まれているいい会社だったんだと

そう、労働組合があって初めてこの労使対等が実現するのだ。

まとめ

今回の記事では、労働基準法2条の説明からこの訓示的、理念的な条文の意味、また労使対等の実現方法までを書きました。

労基法2条の内容から、労使対等を実現するためには労働組合を作ることが必要だ!ということまでは理解できたと思いますが、労働組合が無い会社の場合はどうすればいいのでしょうか。

労働組合を作ればいいじゃん!と言うことは簡単ですが、会社から目をつけられそうで怖いとか、そんな勇気はないという人がほとんどだと思います。

でも法律という上から与えられたものだけでは、労使対等は実現できません。実際私の労働組合があった会社の元同僚は違う会社に就職した際に労働組合がないということで、労働組合を立ち上げました。

その元同僚は言います。

いやー労働組合なんて立てたから、社長からまた悪だくみしてるのかなー?なんてよく言われるんだよ(笑)でも労働組合ないとみんなが困るじゃん。

彼みたいな人間が社会を変えていくんだと思った。

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